外リンパ瘻外来のご案内

外リンパ瘻の症状

外リンパ瘻という摩訶不思議な病気

外リンパ瘻(ろう)は摩訶不思議な病気です。まず、現時点(2010年8月)では世間の大半の人はその名を知りません。かといって外リンパ瘻が非常に珍しい病気かというと決してそうではなく、むしろよくある病気と思われます。
この外リンパ瘻とは、耳の奥の内耳にある窓(正円窓と卵円窓)が普段は常に閉じているものが、何らかの原因で穴が開き、その穴から外リンパ液という液体が中耳に漏れてくる状態をいいます(図1、2参照)。
耳の仕組みと外リンパ瘻という病気
この外リンパ液は元々、脳や脊髄の表面を覆うように存在している脳脊髄液が内耳に流れてきているもので、一旦内耳の窓に穴が開くと持続的に漏れるようになります。その結果、内耳の本来の作用である聴こえの障害(難聴)や、バランス感覚の異常(フラツキ、めまい)、さらに神経反射としての気分不良、ムカツキ、嘔吐、冷汗などの様々な症状が出現することになります。
外リンパ瘻は上記のように液体が穴から漏れるという単純な仕組みですが、そこから摩訶不思議な実像と虚像が作り上げられます。そのキーワードとなるのは「日常茶飯事」、「変幻自在」、「神出鬼没」「カメレオン」です。

「日常茶飯事」

外リンパ瘻の原因は日常茶飯事のことが非常に多く、他の病気に類をみないと思われます。すなわち、はなかみ、クシャミ、咳、嘔吐、息み、きばり、出産、ラッパ吹き、飛行機、ダイビング、ジェットコースター、高層エレベーター、ドライブ(高い山)、ベンチプレス、重量挙げ、むちうち、頭部打撲、鼓膜外傷などが、原因として挙げられます。

「変幻自在」

外リンパ瘻の症状は怪人二十面相の如く、変幻自在です。ある時は突発性難聴のように突然の難聴をきたし、
ある時はメニエール病のようにめまい、難聴、耳鳴りをくり返し、
またある時はうつ病のごとく気分不良からうつ状態になったり、
またまたある時は自律神経失調症、起立性調節障害、更年期障害のように、フラツキ、ムカツキ、嘔吐、頭痛などが生じたりします。
さらには外リンパ瘻があったとしても、症状の無い時や、無い人もあります。

「神出鬼没」

外リンパ瘻の症状出現様式は神出鬼没です。
ある時は雷雨のごとく、突然に現れては消えてゆき、
ある時は繰り返す波のごとく、波状的に現れ、
またある時は瞬間的あるいは継続的に、フラツキや気分不良、ムカツキが出現します。
さらには低気圧とともに現れることもよくあります。

「カメレオン」

外リンパ瘻は変幻自在であることから、カメレオンのごとく他の病名の陰に隠れ続けていることが、往々にしてあります。特に自覚症状として難聴がないときには、迷彩が極めて効果的で、なかなか外リンパ瘻に辿りつけないものです。
このように外リンパ瘻が摩訶不思議たる所以は、「日常茶飯事」の原因で生じる単純な仕組みの病気でありながら、その症状は「変幻自在」、「神出鬼没」で、「カメレオン」の如く巧妙に他の病気に姿を似せて、他の病名を潜伏先としてしまうことです。

さて病気を退治するには、己を知り、敵を知る必要があります。ここからは外リンパ瘻の正体を暴いて、外リンパ瘻という皆さんの敵を知るためのお手伝いをしたいと思います。

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外リンパ瘻外来のご案内

手術による治療効果は眩暈(めまい)やフラツキ、気分不良に対しては非常に有効で、諸家の報告も同様です。また突発性の難聴でも比較的早期に手術を行うと、保存的治療で改善しなかった聴力を回復出来ることもあります。
新須磨病院では外リンパ瘻を診療するのに特化した外リンパ瘻(フラツキ・眩暈、難聴)外来を開設しています。外リンパ瘻外来では、なかなか治まらないフラツキ・眩暈や気分不良・ムカツキ あるいは難聴などの症状が、外リンパ瘻によるものか否かを診断します。外リンパ瘻の可能性が高いと判断した時には、手術の適応を考慮して患者さんとご相談 し、手術をするかどうかを決定しています。
なお、耳鳴りについては残念ながら手術適応ではありませんのでご了承ください。

外リンパ瘻は手術で治療できる内耳の病気です。そのうちでも難聴がない外リンパ瘻はカメレオン や怪人二十面相のごとく、他の病名に巧妙になりすましていることがあります。なかなか治まらないフラツキ・眩暈、気分不良・ムカツキや難聴などで困ってお られる方がおられましたら、外リンパ瘻のことも考えてこの案内文をご参照ください。
外リンパ瘻の診察は予約制です。電話にて予約をして頂きましたら、受診日を調整させていただきます。
予約のお電話は平日午後2時以降に耳鼻咽喉科外来までご連絡ください。
(新須磨病院耳鼻咽喉科 TEL代表078-735-0001)

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ご遠方の患者様へ

ご遠方の患者様のために、外リンパ瘻診断の入院診療(2泊3日)を始めました。
お問い合わせにつきましては、火曜日、木曜日、金曜日の午後2時以降に耳鼻咽喉科外来まで
ご連絡をください。
(新須磨病院耳鼻咽喉科 TEL代表078-735-0001)

入院中のスケジュールは以下の通りです。
1日目 診察後入院、聴力検査、頭部・内耳MRI検査
2日目 内耳CT検査、聴力検査、平衡機能検査、診察
3日目 聴力検査、平衡機能検査、総合的診断

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耳の仕組み

まずは己を知る必要がありますので、耳の仕組みについてお話します(図1、2参照)。

耳は外耳(がいじ)と、鼓膜より中側の中耳(ちゅうじ)、さらに頑丈な硬い骨に囲まれた内耳(ないじ)に分けられます。この内耳の中は2重の構造になっていて外側に外リンパ液、内側に内リンパ液があります。外リンパ液は脳や脊髄の周囲に存在する脳脊髄液腔と連絡し、脳脊髄液(のうせきずいえき)の圧の変化が外リンパ液の圧の変化ひいては内耳全体の圧変化を生じることになります。
さて中耳の働きは、空気中の音という眼に見えない空気の振動を鼓膜で受け止めて、耳小骨という体の中で一番小さな骨のつながりで音の振動エネルギーを伝えてゆきます。そして最後に内耳と中耳の間にある窓(卵円窓)にはまっているアブミ骨が振動することで、内耳の中の外リンパ液に波を起こします。
内耳ではこの外リンパ液に生じた波が、蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる音の感覚器の管の中を伝わって行きます。この外リンパ液の波が音の感覚細胞である有毛細胞(ゆうもうさいぼう)を刺激し、音を感じる機構が働くことになります。この外リンパ液に生じた波は、最終的には内耳のもう一つの窓である正円窓に向かって行き、そこで波のエネルギーを放散することになります。
このように内耳には中耳との間に、卵円窓と正円窓と呼ばれる2つの窓があります。この窓は本来、空気中の音を聴くために不可欠なものですが、逆に外リンパ瘻という病気を引き起こす最大の弱点となっています。
一方内耳には平衡感覚(へいこうかんかく)の器管も存在し、三半規管(さんはんきかん)と耳石器(じせきき)と呼ばれています。これらの平衡感覚器官は、内耳の中の液体の流れや、揺れによって感覚細胞である有毛細胞が作動し、バランス感覚を中枢に伝えます。その結果、眼をつぶっていても真っ直ぐに立っていられますし、どちらの方向に廻っているかも感覚することが出来ます.
ところでこれらの内耳の液体が漏れ出たりすると大変なので、前にお話しましたように内耳の周囲は非常に硬い骨で囲まれています。しかし内耳の2箇所の弱点、すなわち卵円窓と正円窓では圧の変化などで穴があき易く、大事な外リンパ液が内耳から中耳側に流れるような状態、すなわち外リンパ瘻(内耳窓破裂症)という病気が起こります。

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外リンパ瘻の映像

外リンパ瘻の手術映像で実際に外リンパが流出している場面を見て頂きます。

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外リンパ瘻の症状

さてここからは外リンパ瘻という敵を知るための知識と情報について、お話してゆきます。外リンパ瘻では内耳の窓から外リンパ液が漏れ出ることによって、その漏れ方の程度で内耳の中では洪水のような波や、あるいは大波や小波が生じることで、音や平衡感覚を担当する有毛細胞に障害を生じることになります。

第一に平衡(バランス)感覚の障害として、フラツキ、眩暈(めまい)、フワフワする、「くらっ」とする、ものが揺れて見えたりします。
次に聴覚(きこえ)の障害として、まず難聴や耳詰まりがあります。すなわち突発性の難聴、変動性の難聴、進行性の難聴、耳閉塞感、水が入っている感じ、何かが流れる感じなどの症状をきたします。また耳鳴も出現することがあります。これには一般的な耳鳴り(キーン、ジーン、ゴーッ、ガーッ、ザーッ、ドクドクなど)に加えて、外リンパ瘻に特徴的なものとして、水の流れるような音(シャー、サー)があります。さらにボコボコ、ゴボゴボ、プツプツなどと、水中で聞かれる空気音のような耳鳴が出現することもあります。
さらに気分・自律神経の異常として、気分不良、嘔気、嘔吐、車酔いや頭痛など、様々な症状が出現することになります。

これらの自覚症状は程度によって異なり、よくなったり悪くなったりすることもあります。また眩暈やフラツキの症状はかなり個人差があり、外リンパ瘻による平衡機能の異常があっても、眩暈やフラツキを自覚しない人がある一方で、逆にわずかな異常で眩暈やフラツキを強く感じる人がいます。
朝起きるときに頭を一定方向に向けてから起きないと気分が悪くなり、一日中調子が悪くなる人がいます。それが嫌で朝目が醒めてから起き上がるまでに、非常に時間がかかる人もあります。
下を向くと急に「うっ」となり、気持ち悪さを感じる人もいます。
さらには低気圧の気配を誰よりも早く感じる人も多いようです。
最近注目されてきている脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)に似た症状を示すこともあるようです。

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原因

外リンパ瘻は日常生活上の非常にありふれた行為が、その原因となり得ます。例えば鼻をかむことや、クシャミ、咳、息んだり、気張ったり、耳抜き、大声を出したり、嘔吐したり、笛やピアニカ、トロンボーンを吹いたり、荷物を持ち上げようとしたり、水の中に飛び込んだり、ジェットコースターに乗ったり、高山へのドライブ、飛行機の離着陸、ダイビング、頭部打撲、むちうち、エアバック作動による胸部圧迫など、数え上げればきりがないくらいです。
また耳掃除をしていて鼓膜を突いたり、平手打ちで耳を叩かれたりした時に鼓膜に穿孔が生じることはよくありますが、その際に外リンパ瘻も同時に生じることがあります。
さらに頭部外傷などの頭蓋骨への衝撃で内耳の窓に穴が開き、外リンパ瘻が生じることもあります.これらは内耳に対する圧変化で生じるものです。

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外リンパ瘻が潜伏する病名

新須磨病院でこれまでに外リンパ瘻の手術をした患者さんで、外リンパ瘻が潜伏していた病名(前医の診断病名)を表に列記しました。
外リンパ瘻が潜伏していた病名

「難聴がある場合」

やはり突発性難聴とメニエール病が代表的です。これらはいずれも難聴を伴う病気であり、難聴を伴った外リンパ瘻が潜伏してしまいます。この突発性難聴とメニエール病は、診断の手引きに基づいて確定診断される、権威のある病名です。それらを潜伏先として追跡の手から巧妙にすり抜けてしまう外リンパ瘻が、如何に変幻自在の病気であるかがわかります。メニエール病の診断の手引きは2009年に改変されていますが、その中でメニエール病と診断するために鑑別除外しなければならない病気として、新たに外リンパ瘻が付記されています。これは外リンパ瘻がメニエール病の診断をおびやかす存在であることを示唆しているといえます。
ところでメニエール病が外リンパ瘻の潜伏先となる最大の理由は、メニエール病の本態と考えられる内リンパ水腫(内リンパ液が溜まり過ぎて水ぶくれ状態になること)が外リンパ瘻でも生じることにあります。すなわち一般的に内リンパ水腫は内リンパ液が何らかの原因で吸収されなかったり、内リンパ液が作られ過ぎたりすることが原因として考えられています。
外リンパ瘻では内リンパ液の外側に存在する外リンパ液が漏れて圧や量が少なくなることにより、相対的に内リンパ液が増加して内リンパ水腫状態を作ると考えられています。さてこのような内リンパ水腫状態がメニエール病の主症状である眩暈、耳鳴、難聴をきたすのであれば、外リンパ瘻により作られた内リンパ水腫状態がメニエール病とそっくりな症状をきたしてもおかしくないことになります。
それ以外にも、低音障害型感音性難聴、蝸牛型メニエール、変動性感音性難聴、進行性感音性難聴なども外リンパ瘻の潜伏先として認められます。これらの病気の聴力パターンは不安定で変化することが多いですが、外リンパ瘻の「変幻自在」「神出鬼没」と重なる部分が多々あります。

「難聴がない場合」

耳鼻咽喉科領域では、難聴のない外リンパ瘻の潜伏先として前庭神経炎、椎骨脳底動脈循環不全症、眩暈症、頚性めまいなど、様々な病名がありました。難聴がないことをよいことに、これらの病名を恰好の隠れ蓑としてカメレオンのごとく変身し続けている、外リンパ瘻の仮の姿を反映しています。
一方、内科や小児科、神経内科、心療内科、精神科、婦人科などでは起立性調節障害、自律神経失調症、更年期障害、うつ病などが、外リンパ瘻の潜伏先の病名としてあげられました。外リンパ瘻が一般の人にはほとんど知られていない病気のため、難聴を伴わない外リンパ瘻の患者さんが、耳鼻咽喉科以外の診療科に受診することは無理もないことです。その上、外リンパ瘻が認知されてから歴史もまだ浅いことから、他の診療科では外リンパ瘻に関する情報が極めて少ないのが現状です。耳鼻咽喉科医師はこれらの診療科に対して、外リンパ瘻に関する情報を積極的に提供する責務があるといえます。
特に外リンパ瘻による気分不良やムカツキ、嘔吐は、元々内耳からくる自律神経反射によって生じる症状ですので、同じ自律神経症状を生じる他の疾患と鑑別するのは容易ではありません。このように外リンパ瘻は非常に曲者(くせもの)です。外リンパ瘻という曲者を退治するためには、医療者はもとより一般の方々も、「外リンパ瘻という内耳から液体が漏れる病気」を少しでも知っておくことが、難問解決の糸口になると思います。その上で外リンパ瘻の専門領域である耳鼻咽喉科に受診されることをおすすめします。
とりわけ長期間にわたるフラツキやめまい、あるいは気分不良の症状がなかなか治らず、それに対し「うつ病」または「うつ状態」と言われている方は、一考の余地があります。
整形外科・脳神経外科領域
交通事故後などによる頚椎捻挫(むち打ち症)や脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)が外リンパ瘻と類似した症状を示すことがあります。さらに脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)と外リンパ瘻との合併もありえますので、診断が非常に難しい例も存在しています。

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新須磨病院独自の外リンパ瘻診断法

外リンパ瘻が怪人二十面相とすれば、耳鼻咽喉科医師は明智小五郎ばりに外リンパ瘻を追い詰めなければならないといえます。
新須磨病院では外リンパ瘻という病気が非常にありふれた疾患ではないかと考え、2004年以降、新須磨病院独自の外リンパ瘻診断法を考案し診療しております。すなわち外リンパ瘻は内耳から外リンパ液が流出するという現象でこれは変幻自在であることから、それを逆手にとって診断することが、潜伏する外リンパ瘻の診断に有効と考えています。何故なら外リンパ液が内耳から流出する現象は、水道の蛇口のひねり具合や、コップの傾きの変化で、水が漏れ出るのが容易に変化するのと全く同様に、空間的変化あるいは時間的変化で著明に影響を受けるものです(図3参照)。
外リンパ液の漏出
この変化を反映する指標として聴力の変化や平衡機能の変化があり、これらを外リンパ瘻診断の手段として応用しております。
なかでも坐位から臥位にすることで頭の位置が体に対して相対的に下がるような状態にしますと、脳脊髄液圧が上昇します。その結果、水道の蛇口を開けたり、コップの傾きを大きくしたりすることと同様に、内耳からの外リンパ液の流出が促進されるような環境が作られます。この環境変化が内耳の機能(働き)である平衡感覚と聴覚に変化を生じ、この変化を観察することで多数の外リンパ瘻の患者さんの診断が出来るようになりました。

新須磨病院耳鼻咽喉科において手術で確認した外リンパ瘻確実例は、2002年から2013年までに合計306例となっています(図4)。

図:4当院における外リンパ瘻確実例(計306例)

図:4当院における外リンパ瘻確実例(計306例)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2004年以降に外リンパ瘻確実例が著明に増加しておりますが、これは新須磨病院独自の外リンパ瘻診断法の効果と考えております。
さらに2008年からは中耳・内耳のCTとMRIの画像を比較することで、外リンパ液の漏出を確認する方法を考案し外リンパ瘻診断の補助としています。現在は、この外リンパ瘻画像診断法を外リンパ瘻診断の最終的な決め手として活用し、手術に臨む際に大きな安心材料となっています。
当科での2013年までの外リンパ瘻確実例は306例ですが、実際には手術に至らない症例や、あるいは自覚症状が改善している症例などは数多くあり、これらを考慮しますと外リンパ瘻の数は非常に多いものではないかと推測しています。

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治療法

発症早期で外リンパ瘻の原因が明らかな場合には、入院して安静による保存的治療が選択されます。それでも難聴や眩暈・フラツキなどの症状が改善しなければ、鼓室試験開放術(こしつしけんかいほうじゅつ)という手術で中耳内の卵円窓と正円窓を観察し、その際外リンパ液が流出していれば閉鎖する外リンパ瘻閉鎖術(内耳窓閉鎖術)が必要となることがあります。
一方で原因が明らかでない場合や、病気が始まった時期も不明なことも多いので、なかなか治らないめまい・フラツキ、気分不良などが持続している患者さんもおられます。新須磨病院外リンパ瘻外来では、このような患者さんが外リンパ瘻であれば、まず保存的治療(参照 9 外リンパ瘻予防策4か条)をすすめます。原因が明らかになることで不安が軽減し、また予防策の効果もあいまって症状が落ち着くことがあります。
それでも症状改善が得られなければ、手術を行うこともあります。この外リンパ瘻閉鎖術が長期にわたる不快な症状を改善する可能性は十分にあります。

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手術の適応

癌や脳卒中、心筋梗塞などはその病気そのもので死に至る、いわゆる致命的疾患です。それに対して外リンパ瘻は決してそのような致命的な病気ではありません。そのため外リンパ瘻の手術を決定する際には、様々な要因を考慮した上で手術適応を判断する必要があります。
なかでもフラツキや眩暈あるいは気分不良は自覚症状であり、その辛さは患者さん自身にしか判断できないものです。そこで新須磨病院では手術によって得られる効果と、手術で生じる可能性のある合併症を天秤にかけて、最終的に患者さん御自身に手術を選択するかどうかを決めて頂いています。
現在の新須磨病院における外リンパ瘻に対する手術適応を以下に記載しておきます。

  1. 頑固な眩暈やフラツキ、気分不良があり、日常生活に支障があると判断される場合
  2. 突発性の難聴症例で外リンパ瘻の可能性が高く、保存的治療で改善しないもの
  3. 進行性や変動性の難聴で、保存的治療で制御できないもの

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外リンパ瘻の予防策4か条

新須磨病院・外リンパ瘻外来では外リンパ瘻の発症や悪化を防止する方法として、患者さんに次の4か条の予防策をお勧めしています。
「うつむかない」「気張らない」「息を止めない」「ため息つかない」(図5)
外リンパ瘻の予防策4か条

  1. 「うつむかない」
    下にあるものに対して作業をする時に、上から目線ではなく、同一目線で行うようにするのがよいです。すなわち膝を曲げて腰を下ろして作業することが安定感を増し、腰への負担も合わせて軽減してくれます。頭を下げることで脳脊髄液圧が上昇し、外リンパ液流出を促すことになります。
    歩くときもうつむきがちに自信なげに歩くのは止めて、前をしっかり見て軽く顎を引いて歩くようにしましょう。うつむくと気分も落ち込んで「うつ状態」を余計に演出してしまいます。
  2. 「気張らない」
    余計な力を入れないこと。スポーツにしても何事にも、力むと結果はよくないものです。
    トイレで大便の用をたす時も前屈みになって気張るのは、脳脊髄液圧の上昇をきたし外リンパ瘻にはよくありません。
  3. 「息を止めない」
    外リンパ瘻外来で患者さんによく『息を止めていませんか?』と尋ねますと、必ず『止めていません!』という返事が返ってきます。しかし無意識に息を止めていることはよくあることで、例えば頭髪をシャンプーしている時を考えてみてください。大部分の人は無意識にうつむいて息を止めていることが多いと思います。このような無意識で息を止めていることを意識して知り、むやみに息を止めないようにしましょう。
    また緊張している時も知らず知らずのうちに息を止めてしまうもので、それがさらに緊張を増幅するという悪循環に陥りがちです。息をはくことはリラックス効果も生み出しますので、ぜひ『息は止めずにはくように』心がけて下さい。
  4. 「ため息つかない」
    ため息とは溜めた息をはき出すことをいいます。すなわち息を止めている時間が長くなると大きなため息となります。これは先に述べた「息を止めない」という予防策に大いに反する行為や動作といえます。また、ため息が出るような事態では心理的ストレスがかかっていることが考えられます。このようなストレスがある時には息を止めるのではなく、息をはき肩の力を抜いてリラックスするようにしましょう。

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