リウマチ・膠原病センター(神戸)

高齢発症の関節リウマチについて

【意外と多い高齢発症関節リウマチ】

下の図は2014年1月から2015年12月までに関節リウマチが発症し、当院に通院した方の年齢別分布です。65歳を境に急に人数が増えている事が分かります。中には80歳を越えてから発症した方もいます。2015年のリウマチ白書では、関節リウマチの発症年齢は30~50歳、ピークは40歳代と言われていますが、現状と差が見られました。高齢発症で日本リウマチ友の会に参加している方が少ないのかもしれません。

2014-15にRAを発症した人数

【65歳未満 vs 65歳以上】

それでは65歳未満と65歳以上とでは何か違いがあるのでしょうか。
2015年秋の定点調査を用いて、65歳未満と65歳以上の2つのグループの比較を行いました。
先ずは初診時です。平均年齢はもちろん差がありますが、罹病期間は変わらず、関節リウマチの自己免疫であるRFや抗CCP抗体は、高齢発症で陽性率が低くなっていました。一般的に高齢発症の場合はRFや抗CCP抗体陰性の例が増えると言われており、その通りの結果でした。

年齢比較

次に初診時の活動性を比べてみました。
炎症反応のCRP、疼痛関節痛、腫脹関節痛、患者VAS(注1)、医師VAS(注1)、DAS28CRP(注2)ともに差はありません。
RFや抗CCP抗体が陰性の症例が多くても、活動性が低くなる傾向はありません。
(注1) VAS:Visual Analogue Scaleの略。主観的な疾患の全般評価に用いる。
(注2) DAS28CRP:足趾や足関節を除く28関節の疼痛・腫脹と、患者VAS、炎症反応CRPを用いた評価法。

初診時の活動性

さらに、2015年秋の定点調査時の活動性を比べてみました。
すべての項目について初診時よりも低下し、活動性が抑えられていました。ところが患者VASと医師VASでは、65歳以上のグループで下がりが悪いことが分かりました。
関節の痛みは取れているにもかかわらず、満足度が低いのは何故でしょう。

2015年秋の定点調査時の活動性

【痛みを伴う合併症】

左のレントゲン写真はもともと変形性膝関節症があり、その上に関節リウマチが合併しました。関節リウマチは改善しても変形性関節症による疼痛が残っているので、患者VAS=70、医師VAS=50でした。
右の腰椎MRIの写真は第2腰椎と第3腰椎の部位に脊柱管狭窄症が認められ、腰痛と下肢の疼痛が合併した関節リウマチの症例です。神経障害性疼痛に対する治療を追加していますが、患者VAS=75、医師VAS=35と満足度の低い状態となっています。

変形性膝関節症、腰痛と下肢の疼痛が合併した関節リウマチ

更に、左の頚椎MRIでは第3から第6頚椎に脊柱管狭窄症を認めます。両上肢の痺れや疼痛が合併した関節リウマチの症例です。関節痛と違い神経障害性疼痛は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が効きづらく、疼痛コントロールに苦慮することが少なくありません。患者VAS=82、医師VAS=0でした。
右の腰椎MRIは第12胸椎に出現した新規の圧迫骨折です。骨折による慢性腰痛で患者VAS=50、医師VAS=20でした。

脊柱管狭窄症、圧迫骨折

このように高齢発症の関節リウマチ症例では、高齢による変形性関節症や脊柱管狭窄症、また骨粗鬆症に伴う椎体骨折によって、治療満足度が下がりやすい傾向が見られるため、関節リウマチ治療が順調でも患者VASや医師VASが高いまま残ると推察できます。
痛みをいかに抑えていくか、高齢発症の関節リウマチ症例では疼痛コントロールが非常に重要になっています。近年神経障害性疼痛はCMを通じて啓蒙活動され、広く知れ渡る所となりました。
薬剤の種類も増えています。関節リウマチと同様に、疼痛コントロールにもパラダイムシフトが起こっています。

関節リウマチについて

関節リウマチ(RA)は年2回、春と秋に新須磨RAコホートを行っています。患者数もゆっくり増加し(図1)、28関節の病変から計測する疾患活動性評価(DAS28)も低い状態で維持できています(図3)。特徴的なのは平均年齢が上昇しているにもかかわらず、罹病期間が短くなっていることです(図2)。つまり高齢発症のRAが増加している傾向があります。

(図1) RA患者数の推移
RA患者数の推移
(図2) RA患者の年齢と罹病年数
RA患者の年齢と罹病年数
(図3) RA患者の疾患活動性の変化
RA患者の疾患活動性の変化

新たな取り組みについて

 免疫抑制療法が主流である現在のRA治療では、感染症のリスクを伴う事が問題です。そこで生物学的製剤を使用している患者で寛解を維持できている場合、生物学的製剤の中で比較的安全性の高いアバタセプトに切替えることで、寛解維持と感染症の低下ができるかという臨床研究を行っています。高齢化したRA患者が安全に治療を受けられる選択枝を模索していきます。
 膠原病については、シェーグレン症候群を中心にRA症例とほぼ同数の症例が集まっています(表1)。紹介される事が多く、今後も地域の中核病院として、機能向上を目指すとともに、病診連携を密接に図ってまいります。

(表1) 当センターにおける各疾患の患者数(2016/1/25現在)

関節リウマチ 273
シェーグレン症候群 106
全身性エリテマトーデス 32
リウマチ性多発筋痛症 27
強皮症 26
混合性結合組織病 20
分類不能の結合組織病 8
多発性筋炎 8
ベーチェット病 7
抗リン脂質抗体症候群 3
原発性胆汁性肝硬変 3
分類不能の血管炎 2
反応性関節炎 2
大動脈炎症候群 2
再発性多発軟骨炎 2
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 2
結節性多発動脈炎 2
強直性脊椎炎 2
乾癬性関節炎 2
IgG4関連疾患 2
特発性血小板減少症 1
成人発症スティル病 1
自己免疫性肝炎 1
サルコイドーシス 1
顕微鏡的多発血管炎 1
キャッスルマン病 1
合計 537

新須磨病院〒654-0048 神戸市須磨区衣掛町3丁目1番14号 TEL:078-735-0001

Copyright (c)Shinsuma Hospital All Rights Reserved.