脊髄治療センター くび・こし・せぼね

新須磨病院 脳神経外科は、おもに脳卒中(クモ膜下出血・脳内出血・脳梗塞)、脳腫瘍、頭部外傷などの頭蓋内疾患に対して、積極的に手術治療を行ってきました。
 2004年10月からは、頭蓋内疾患だけでなく、脊髄・脊椎疾患に対しても治療を行うことができるようになりました。手のしびれや、腰痛でお困りの患者さまは、頭蓋内疾患と比べると驚くほど多く、手術療法や、リハビリテーション、薬物療法を行うことによって、症状が軽減する方も多数おられます。
 2008年から、脳神経外科 脊髄治療センターを立ち上げ、これらの症状でお困りの方に対して、積極的に治療を行っていきたいと思います。
 腰の疾患は、整形外科じゃないの?とお考えの方も多いとは思いますが、脳・脊髄という神経系から治療を進めるという点で、少し異なった見方ができるのではないかと思います。また、当センターでの手術は顕微鏡を用いた、微細な手術を行い、低侵襲で安全な手術を目指しています。
 一度、手のしびれ、腰痛でお困りの方は脊髄治療センターの外来を受診していただければと思います。

手のしびれ、足のしびれについて

しびれとは?

しびれの中には、正坐をした後のようなビリビリした感覚や、力が入りにくいなど、種々の感覚が含まれます。このしびれという感覚は脳で認識しています。よって、手がしびれる、という病態は、手から、頚髄、反対側の脳にいたるまでの間になんらかの異常がある場合に出現します。左の脳の病変、右頚椎の病変、右末梢神経の病変で右手のしびれがおこりうることになります。また、右足のしびれは左の脳の病変、右腰椎の病変、右下肢末梢神経の障害で起こります。それぞれ種々の病態がありますが、頻度の高い病態・その治療法について述べていきます。

頸椎からのしびれ

頚椎由来のしびれの中で、最も頻度の高い病気は頚椎症といわれる病態です。
頚椎は頭を支える柱になる骨で、7個の骨が椎間板というクッションでつながれている構造をしています。その中には脊柱管といわれる脳からつながる脊髄、脊髄からでる神経根が通る筒があります。頚椎は生まれてからずっと、頭を支えており、首を前後屈、回旋などの運動をし続けているため、年齢とともに徐々に変性してきます。この変形が脊髄や神経を圧迫する状態が頚椎症性脊髄症、あるいは頚椎症性神経根症という病態です。
頚椎のなかで、最も早い段階で変化が出現するのは、椎体と椎体の間にはさまっている椎間板という組織です。初期の変化は水分の減少で、徐々に弾力を失います。その状態に外力が加わると、椎間板は前後に突出し、椎間板高は減少します。骨同士が干渉し始めると、骨にも変形がおこり、骨辣が前後に出現し、これが脊髄や、神経根を圧迫すると、しびれや痛牢麻痺が出現することになります。

頸椎症性脊髄症

頚椎の変化により脊髄が圧迫されると、手だけでなく、足にも症状が出現します。初期の症状は頸部痛や肩こりで鎮痛剤や筋弛緩薬、漢方薬などで症状の緩和をはかりますが、なかなか改善しません。
その後、手足のしびれが出現し、徐々に細かい動き、あるいは歩行が困難となってきます。歩きにくくなると、よく転倒し、頭部外傷・頚椎捻挫を合併することにより、さらに症状が出現してきます。運動機能に障害が出現してきた場合には、(脊髄への圧迫を取り除く)手術が必要になります。そのような状態にならないようにするためには頸部の安静をはかること、転倒などの外傷をさける、頚椎の牽引などがありますが、牽引をすることにより症状が悪化することもありますので、注意が必要です。

頸椎症性神経根症

頚椎症性脊髄症と同様、頚椎の変形により神経根が圧迫される病態です。手を支配する神経の1本1本が、個々に圧迫されるため、神経の支配領域に沿ったしびれや痛みが出現します。また、首を患側に傾ける、あるいは首を後方に伸展させることによりしびれ・痛みが悪化することがあります。初期症状は脊髄症と同様、頚部痛や肩こり、また、肩甲骨周辺に痛みが出ることがあります。手のしびれは神経支配に一致するため、第5頚神経の場合、扁の周辺、第6頚神経の場合、第1、2指に、第7頚神経は第3指にしびれ・痛みが出現します。症状が悪化すると、麻痺が出現し、その場合には神経根の圧迫を取り除く手術を必要となります。この病態は比較的保存的治療により症状の改善が得られる場合も多いため、手術を行うことはほとんどありません。

手根管症候群

手のしびれを主訴とする方の中に、脳や頚椎ではなく、手に原因を有する病態があります。その中で最も多い病態が手根菅症候群です。女性、手をよく使う職業の方、透析をされている方、甲状腺疾患を有する方に多いといわれています。
病状が進行すると、手根菅開放術という手術が必要となります

足のしびれについて

足のしびれで比較的多いのは腰椎疾患です。若年の方の場合、腰椎椎間板ヘルニアによる下肢のしびれ・痛み、中後年の方の場合は腰部脊柱菅狭窄症によるものが多く、手術によって改善する場合もあります。

腰椎椎間板ヘルニア

重い荷物を持ったときや、腰をひねったときに突然生じる腰痛と、下肢の痺れ、痛みは腰椎椎間板ヘルニアを疑います。変性した椎間板が後方に向けて突出し、神経を圧迫するため、下肢の痺れや痛みが出現する疾患です。椎間板は柔らかい組織であり、椎間板ヘルニアはほっておいても自然に吸収されることがほとんどです。
安静や鎮痛剤などで、痛みのコントロールを行い、突出した椎間板が退縮するのを待ちます。しかし、耐えがたい痺痛や、麻痺の出現、尿が出ないなどの膀胱直腸障害などが出現した場合には早急に神経の圧迫を取り除く必要があります。そのような場合には手術をすることもあります。

腰部脊柱管狭窄症

腰椎は上体を支える以外に、足を支配する神経が通っています。腰椎にも首と同様に、老化現象による変化がおこることがあります。椎間板変性、骨辣形成、靭帯の肥厚などの病態が進み、神経を通す脊柱菅がせまくなることにより下肢症状が出現します。腰椎には脊髄は存在せず、馬尾神経というバラバラの神経であるため、個々の神経が圧迫されるための症状、あるいは馬尾神経全体が締め付けられるために症状が出現します。
腰痛を自覚される方は約半分といわれています。その後、下肢のしびれが出現し、歩行により悪化する間欠性披行という症状が出現します。ここまでの症状の場合、プロスタグランジンという神経の血行を良くする薬を内服することにより症状の改善が得られることがあります。また、麻痺や、膀胱直腸障害が出現することもあり、この場合には椎弓切除術という神経の圧迫を取り除く必要があります。

おわりに・・・・
以上のように、手や足のしびれのなかには、以上のような病気が隠れていることもあり、場合によっては手術をしなければならないこともあります。まずは、このような病態が隠れていないかを、検査する必要もありますので、気になるしびれがあれば、脊髄治療センターを受診していただければと思います。
よろしくお願い致します

新須磨病院〒654-0048 神戸市須磨区衣掛町3丁目1番14号 TEL:078-735-0001

Copyright (c)Shinsuma Hospital All Rights Reserved.