ガンマナイフ治療センター
ガンマナイフとは?
世界に普及するガンマナイフ治療
ガンマナイフは、定位放射線治療(ターゲットに集中して高線量を照射する治療)の中で、最も長い歴史をもち、現在最も普及した治療法です。2010年5月時点で、世界で275台(日本で55台)のガンマナイフが設置されています(図1)。

図1:各国に配置されたガンマナイフ治療装置の分布と数(エレクタ社資料より)
ガンマナイフのしくみ
ガンマナイフの構造は、図2のように半球状に配列された201個の放射線源(コバルト)から発生するガンマ線をコリメーターの中心点に集束するように作られています。図3は頭部をすっぽりと覆うように配置されるヘルメットのようなコリメーターです。コリメーターを近くで見ると図4のように、同じ口径の穴が並んでいることがわかります。この穴から、ガンマ線が中心点に向かって放射されます。一つ一つの穴から出されるガンマ線は弱くても、コリメーターの中心点では高線量となるため、正確に脳腫瘍を照射することができます。

新須磨病院のガンマナイフ治療について
新須磨病院ガンマナイフ治療センターの歴史
1992年12月日本で9番目、西日本で初めてのガンマナイフとして治療を開始しています。開設当初は、遠く九州や山陰地方からの患者さまもたくさん来院されました。現在は他府県へのガンマナイフの普及と共に、近隣の地域からの患者さまが多数を占めるようになり、兵庫県、徳島県、香川県、及び大阪府の一部の地域からの患者さんが来院されています。2010年6月時点で総治療件数は6,326件です。年別の治療疾患は図5,図6の通りで、年々、転移性脳腫瘍の治療数が増加しています。これは、癌患者の増加や抗癌剤治療の進歩により、癌が脳に転移する患者さんの数が増加してきているためと考えられます。

図5:開設以来の年間の治療患者数(1992年から2009年まで)

図6:治療を受けた患者さんの疾患別の比較(%)
ガンマナイフ治療の費用と日数
健康保険の種類にもよりますが、3割負担の場合、すべての費用を含めて20-25万円程度かかります。高額医療の手続きを行うことにより、実際の負担は10万円前後になります。
日数は、8割の方が日帰り治療(0泊入院)を選ばれています。遠方の方や体調が不安な方は1-2泊の入院を選ばれる方もいらっしゃいます。
ガンマナイフ治療の曜日と時間
月曜から金曜日まで毎日治療を行っています。治療に要する時間は、腫瘍の大きさと個数によります。大まかな目安ですが、小さな一つの腫瘍ならば30分以内、腫瘍が10個近くある場合には、全部で3-4時間かかることもあります。
ガンマナイフ治療の実際の手順
ステップ1:フレームの固定
四つのピンにて金属(チタン)の枠(フレーム)を頭部に固定します。局所麻酔を用いて行います。いったん固定された後は、治療中は痛みはありません。
ステップ2:MRI検査
フレームをつけた状態でMRI検査を行います。MRIの画像にフレームの目盛がついていますので、それを基準に腫瘍の位置がコンピュータに登録されます。
ステップ3:照射治療
フレームをつけた状態で、ガンマナイフユニットのベッドに寝ていただきます。ベッドが自動的に照射ユニットにスライドして治療が始まります。装置自体の大きさは、ちょうどMRIと同じぐらいです。治療中は、熱を感じることはありません。また、無音ですので、音楽を流しながらリラックスして治療が行われます(図7)。
ステップ4:フレーム外し
治療後は、直ちにフレームを頭部から外して、終了します。ピンの跡は、絆創膏を一日貼って終わりです。

図7:ガンマナイフ治療装置の全景
セカンドオピニオンと”Wait & Scan”(経過観察)の相談窓口
1)セカンドオピニオン外来:他の病院で診断された脳腫瘍の治療方針についてご相談のある患者さまを対象とします。ガンマナイフ治療、その他の放射線治療、外科手術、化学療法、などについてご相談いたします。
2)“Wait & Scan”外来(経過観察外来):良性の腫瘍で、今は治療を希望されないが(wait)、将来ガンマナイフ治療を受ける可能性がある方を対象とします。腫瘍がどのような経過をたどるか、外来で定期的にMRI検査を行ないます(scan)。疾患により、3カ月ごと、6カ月ごと、12カ月ごとの年間の検査予定を組み、ガンマナイフ治療プラン用のMRI画像にて詳細な観察を継続します。
どちらも、新須磨病院ガンマナイフ治療センターへ直接電話予約してください。予約の際、『セカンドオピニオン外来希望』、あるいは、『「経過観察外来」希望』、とお伝えください。
よくあるご質問1:他の放射線治療との違いは?
A.ガンマナイフとサイバーナイフ(ノバリス、シナジーも同様)との違い
1) 頭の固定
ガンマナイフでは患者さんの頭部をピンで固定します。サイバーナイフでは患者さんの顔面全体をプラスチッックネットで固定します。
2) 治療時間
ガンマナイフでは線源が201個であるのに対して、サイバーナイフでは線源が一つのリニアックです。時間はガンマナイフの方が短くてすみます。
3) 分割照射
ガンマナイフでは一回で高線量を使って治療します。サイバーナイフでは一回で高線量のみならず、低い線量を何回かに分けて照射治療することができます。
B.ガンマナイフと粒子線治療との違い
粒子線治療は、周りの正常脳への放射線の影響を低く抑えて、腫瘍に高線量を照射することができます。頭蓋底部の腫瘍に適しています。ガンマナイフほどの正確な照射は困難です。
C.ガンマナイフと全脳照射(ライナック)との違い
ガンマナイフではピンポイントで目標を狙って一回で治療します。全脳照射では正常脳を含めて弱い照射を毎日繰り返して、腫瘍だけが死滅することを期待して治療します。全脳照射は一生で一度(1クール)だけしか使うことが出来ません。正常脳へのダメージが危惧されるからです。ガンマナイフは、何回でも繰り返すことが出来ます。
放射線治療の違い、それぞれの効果と副作用について詳しくは、セカンドオピニオン外来までお問い合わせ下さい。
よくあるご質問2:治療すべきか迷っています
ガンマナイフ治療の病気別の「治療の原則」について簡単にまとめます。
A.癌の脳転移(転移性脳腫瘍)の治療の原則
1)原発巣の癌が治癒しない限り、癌の脳への転移の可能性は消えません。
2)抗がん剤による治療が今日では進歩してきています。原発巣の癌が完治しなくても、癌を制御できる期間が伸びて、患者さんの生存率も伸びています。
3)従って、癌が脳に転移したときには、病気の症状と腫瘍の大きさ・数のみならず、それぞれの治療法が効きやすいタイプかどうか、副作用と患者さんの体力、などを考え、①手術、②全脳照射、③ガンマナイフ治療、④抗がん剤治療など、さまざまな治療手段を、病状に併せてよく相談の上、効率的に組み合わせて行くことが重要です。
4)ガンマナイフ治療は繰り返して行うことが可能です。
5)世界的に、ガンマナイフ治療を行う癌患者さんの数は増加しています(図8)。

図8:全世界でガンマナイフ治療を受けた癌患者さん(転移性脳腫瘍)の累積数(エレクタ社資料より)
B.髄膜腫の治療の原則
1)安全に手術で全部摘出することが最も望まれます。
2)頭蓋底部など大切な脳神経・血管を巻き込んでいるような髄膜腫は、症状を悪くしない範囲で手術を行い、残った部分をガンマナイフで治療します。
3)無症状で偶然発見された場合には、wait & scan (治療を行わずに、定期的にMRI検査を行いながら経過をみる)ことも考慮すべきです。
4)数%ですが、悪性度の高い髄膜腫もあり、この場合は、速やかに治療を行うべきです。
C.聴神経腫瘍の治療の原則
1)①手術、②ガンマナイフ治療、③wait & scan(治療を行わずに、定期的にMRI検査を行いながら経過をみる)、の3つの方法があります。
2)腫瘍の大きさだけではなく、年齢、体力、聴力低下の程度、進行の早さなどを考慮して、時間をかけて十分に納得された上で、3つの中から方法を選ばれることをお勧めします。
3)悪性であることは非常に稀で、ほぼ100%良性です。

