スマ★コラ
外来でもよく質問される「便潜血検査ってどんな検査?」「大腸カメラは大変?」といった疑問に、医師がわかりやすくお答えします!
便潜血検査
便潜血ってなに?
肉眼では見えない、便に混じったごく微量の血液のことです。
便潜血検査は、大腸がんなどの消化管からの出血がないかを調べるスクリーニング検査です。
便潜血ってどうやって調べるの?
検査キットで2日分の便を採取し、見えない出血がないかを調べます。
便潜血検査を2回行う理由は、1回だけの検査よりも偽陰性のリスクを下げて検査の精度を高めるためです。
陽性だったら大腸がんの可能性があるの?
陽性の方の3~5%に大腸がん、約2〜3割にポリープなどが見つかります。
早期発見のきっかけとなる重要な検査です。
その他、陽性になる原因として痔、大腸憩室症、腸炎、月経血、便秘の影響などがあります。
どれくらいの頻度で受けるの?
40歳以上の方は年に1回の便潜血検査が推奨されています。
また、繰り返し検査を受ける理由としては、一般にがんには検診を受ければ病変の発見が可能な無症状期間(前臨床期)が存在すると考えられており、この時期に検診を受ければ治療できる状態のがんを発見できる可能性があるからです。
便潜血が陽性だったらどうしたらいいの?
厚生労働省は、便潜血検査の陽性反応が出た場合の精密検査として大腸内視鏡検査を推奨しています。
また、大腸内視鏡検査を行うことが困難な場合はS状結腸内視鏡検査と注腸エックス線検査の併用による精密検査も検討されます。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査ってどんな検査?
肛門からカメラを挿入し、大腸を直接観察します。ポリープがあればその場で切除することもできます。
ポリープの中には将来大腸がんになるものも含まれており、あらかじめそれらを切除することによって、大腸がんの予防になると考えられています。
痛みやつらさはあるの?
腸の中を観察するためには空気で膨らませる必要があるため、お腹の膨満感やカメラの操作による痛みが起こることがあります。
新須磨病院では患者様の痛みの程度に応じて鎮静剤を使用して、できるだけ楽に検査を受けていただけるよう配慮しています。
ただし、普段から精神科のお薬を飲んでいる方や飲酒機会が多い方は効きにくい場合があります。
大腸内視鏡検査の前準備は?
前日は消化の良い食事、当日の朝は下剤で腸をきれいにします。
当日の下剤は2L飲んでいただく必要があり、たくさんの下剤を飲むことが大変と感じられる方もいらっしゃいますが、これは腸の中を完全にきれいにすることで病気の見逃しを防ぐために大切な処置となっています。
まれに下剤の服用中に腹痛、嘔吐などの症状が見られる患者さんがいらっしゃいます。
その場合は速やかに服用を中断して病院へご連絡ください。
検査のリスクは?
出血や腸に傷がつくことがありますが、ほとんどは軽度で対応可能です。
大腸内視鏡検査および治療に伴う偶発症発生頻度は全国集計で0.069%と報告されています。
大腸がんの手術を受けた後は検査する必要はあるの?
「大腸癌治療ガイドライン」では直腸がんの方は術後3年目まで毎年、結腸がんの方は術後1年目と3年目に大腸内視鏡を行うことが推奨されています。
また、内視鏡でポリープを切除した場合は翌年の再検査が勧められています。
まとめ
便潜血検査は「入口の検査」、内視鏡検査は「しっかり調べる精密検査」です。
症状がない方にもおすすめされる大切な検査です。
気になる方はぜひお気軽にご相談ください。