スマ★コラ
最近では多くの病気で「腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)」が選択されるようになっています。このページでは、腹腔鏡手術に関する基本的な知識やよくある疑問にQ&A形式でお答えします。
目次
Q1:腹腔鏡手術とはどのような手術?

腹腔鏡手術とは、お腹に5mm~1cm程度の小さな穴を数カ所あけて、そこからカメラ(腹腔鏡)や手術器具を挿入し、体内をモニターで確認しながら行う手術です。従来の開腹手術では大きくお腹を切開する必要がありましたが、腹腔鏡手術では傷が小さく、身体への負担が少ないのが特徴です。
Q2:どのような病気に腹腔鏡手術が使われるの?
腹腔鏡手術は、以下のような幅広い病気に適用されます。
- 虫垂炎、胆のう炎などの救急疾患
- 胃がん、大腸がんなどの消化器疾患
- 子宮筋腫などの婦人科疾患
- 前立腺がん、腎がん(腎細胞がん)などの泌尿器科疾患
Q3:腹腔鏡手術のメリットは?

主なメリットは以下の通りです。
・傷跡が目立ちにくい
傷が5mm~1cmと小さいため、傷跡が目立ちにくいです。
・出血が少ない
傷が小さいのと、手術の際視野の確保のために腹腔内に炭酸ガスを注入して腹部を膨らませるので、これにより常に腹圧がかかった状態となるため、出血が抑えられます。
・痛みが少ない
開腹手術と比べ、術後の痛みが軽く、鎮痛剤の使用も少なくて済むことが多いです。※痛みがないわけではありません。
・回復が早い
傷が小さく、体への負担が少ないため、入院期間や仕事や家事への復帰が早くなる傾向があります。
・拡大視野での手術
また、内視鏡による拡大視により、より精密な手術が可能です。
これらのメリットにより、高齢者や合併症のある方にも優しい選択肢となっています。また、傷が小さいことにより術後の組織のひっつき(癒着)を少なくすることができ、術後に腸閉塞が起こる確率を下げることができます。
Q4:腹腔鏡手術にリスクやデメリットは?
どのような手術にもリスクはあり、腹腔鏡手術にも以下のような注意点があります。
・操作スペースが限られる
体内を映像で見ながら操作するため、開腹手術に比べて視野や触覚に制限があり、開腹手術より時間がかかることがあります。
・技術的に難しい場合がある
以前にも手術を受けたことがあり、強い癒着がある場合などは開腹手術へ変更することがあります。
また、開腹手術に比べて傷の痛みは少ないと言われていますが、お腹を切る手術には変わりないため、特に最初の1週間は痛みが続くことが多いです。
Q5:すべての人が腹腔鏡手術の対象?
多くの方が対象となりますが、以下の場合は適さないことがあります。
- 過去の手術による強い癒着がある場合
- 腫瘍が大きい、または周辺臓器へ浸潤している場合
- 重篤な心臓や呼吸器疾患がある場合
診察や画像検査などをもとに、最も安全で効果的な術式を医師が判断します。
Q6:手術後の入院期間や日常生活への影響は?
入院期間は手術の種類によって異なりますが、例えば胆のう摘出術であれば3〜5日、大腸の切除では7〜10日程度が一般的です。退院後も多くの方が1週間程度で日常生活に戻ることができます。
ただし、激しい運動や、腹圧をかけるような動作(重い物を持つ、排便いきみなど)は1か月程度は控える必要があります。
Q7:ロボット手術とはどう違うの?
最近増えているロボット手術は正確には「ロボット支援腹腔鏡下手術」であり、広い意味では腹腔鏡手術の一つといえます。腹腔鏡手術とロボット手術の主な違いは、カメラや手術器具を把持する部分です。腹腔鏡手術では、医師が手術器具を直接把持して操作するのに対し、ロボット手術では、ロボットの腕(アーム)を手術器具に取り付けて、医師はコントローラーを操作してロボットを動かします。これによってより精密な手術ができるとして期待されています。
最後に
腹腔鏡手術は、技術の進歩により安全性・有効性ともに確立された治療法です。新須磨病院では、患者さん一人ひとりにとって最適な治療を提供できるよう努めております。ご不安な点やご不明な点があれば、いつでも担当医やスタッフにご相談ください。