医療法人社団 慈恵会 新須磨病院

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治療法

脳神経外科

診療科

脳動脈瘤 ~脳の血管にできるこぶ~

脳神経外科

杉原 正浩

2025/07/01
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脳動脈瘤とは?

 脳の血管に圧力がかかり、血管の一部が風船のように膨らんだ状態です。圧力がかかることで大きくなり、それに伴い血管の壁が薄くなることで圧力に耐えられず破裂し、くも膜下出血を引き起こすことがあります。

治療について

 脳ドックなどMRI検査が行われることが多くなり、脳動脈瘤が見つかることが多くなりました。ただし、見つかったとしても、サイズが小さいものやご高齢の患者さんには経過観察をお勧めすることが多いです。一方で、サイズが大きなもの、いびつな形態をしている場合には、くも膜下出血をきたすリスクがあるため、予防手術を勧めることもあります。 予防手術には、大きく分けて血管内(カテーテル)手術、開頭クリッピング手術の二つがあります。

血管内治療 ~コイル塞栓術~

図1.脳動脈瘤の中にコイルを充填している

 血管内治療は、脳動脈瘤を治療するための低侵襲(患者さんの体の負担が少ない)手法であるコイル塞栓術が基本的な技術です。この方法では、大腿動脈(ふとももにある大きな血管)などから挿入された細長いカテーテル(チューブ)を用いて、脳の血管内にプラチナ製の柔軟なコイルを挿入し、動脈瘤内を充填します。これにより動脈瘤への血流が遮断され、破裂リスクが減少します。さらに、従来は治療が困難だった大型または複雑な動脈瘤に対しても、フローダイバーターやバルーンカテーテル、ステントといった進歩したデバイスを使用することで、有効な治療を行うことができます。これらの治療はカテーテル挿入部の傷が数ミリ程度と小さく、患者さんの回復も早いため、手術の負担が少なくなります。

 動脈瘤の位置や形状に応じた最適なデバイスの選択を行い、できるだけシンプルで堅実な方法により、動脈瘤内への血流を遮断するよう心がけています。

開頭脳動脈瘤クリッピング

図2.脳動脈瘤の入り口にクリップを装着

 これは、皮膚を切開し頭蓋骨の一部を開いて脳にアクセスし、動脈瘤の入口(ネックと呼ばれる部分)にチタン製のクリップを装着して血流を遮断し、動脈瘤の破裂を防ぐ手術です。この方法は、半世紀前から使用されており、最大のメリットは一度の手術で動脈瘤の再発や破裂のリスクを非常に低減できるため、効果的で根治性が高いとされています。動脈瘤の形態によって様々な形状のクリップを組み合わせることで、動脈瘤が余すことがないように閉鎖します。

 今後の人生で患者さんが安心して暮らせるよう、動脈瘤をしっかりと根治させることを心がけています。また、開頭手術という侵襲性はありますが、皮膚切開の部位が髪の毛の中に隠れるようにしたり、頭蓋骨の凹みができないように、できるだけ整容面にも配慮した手術を行います。

治療の選択について

 それぞれに特性がありますので、患者さんとよくご相談させていただいて最適な治療方針を決定しています。

 いずれの治療を行う場合にも、動脈瘤を破裂させないだけではなく、患者さんに安心して生活してもらえるようになることを目標にしています。

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