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上部内視鏡検査Upper endoscopy

胃がんは内視鏡で早期発見・根治できる

胃カメラは優秀な医療機器です

皆さんは胃カメラと聞くと「苦しそう」「大変そう」などネガティブなイメージが強いかもしれません。しかし、医療が進歩した現在、昔に比べると各段に負担は軽減されています。例えば上部消化管内視鏡(以下、胃カメラ)の太さですが、経口内視鏡で約10.7㎜、経鼻内視鏡では6.75㎜。鉛筆より少し細め、と思えばイメージも少しかわるのではないでしょうか?また、検査にかかる時間に関して、胃カメラをいれている時間は数分間程度です。
検査ではまず、胃の粘液を溶かす薬と胃の泡を消す薬の水液を飲みます。その後、喉に局所麻酔のゼリーを含みます。経鼻内視鏡の場合、鼻の血管を収縮させる液のスプレーや、鼻腔へ麻酔ゼリーを含んだスティックを挿入し、検査台へ移動。胃カメラを口あるいは鼻から挿入し、胃の中に空気を入れて観察します。通常、口腔内、咽頭喉頭、食道、胃、十二指腸下降脚まで観察していきます。
検査中は体の左側を下にした姿勢で寝たまま、体の向きを変える必要はありません。咽頭反射(のどに物を入れた時、吐き気を引き起こす反射)が強い方や、不安の強い方には、鎮静剤の静脈投与(点滴)で、眠っている間に行なうことも可能です。その場合は、検査後1時間ほど休んで帰っていただきます。鎮静剤使用後に眠気や嘔気が起こることがあるため、検査日は車の運転や高所での作業は避けてください。 喉の麻酔が切れる1時間後からは普通に食事ができます。

バリウム検査と内視鏡検査の胃がん検出率

胃がんの検出率で比較した場合、胃透視(バリウム検査)は0.14%、内視鏡では0.56%との報告があり、内視鏡の方が高い検出率を示しています。内視鏡の場合、粘膜のごくわずかの色調の違いや凹凸の違いが直接観察でき、もし異常が見つかれば、その場で生検(組織を採取して、細胞レベルでがん細胞の有無などを評価すること)が行えます。

がんは日本人死亡原因1位

日本人の死亡原因の1位はがんです。胃がんの罹患数は大腸がんについで第2位、2020年は13万人以上が胃がんと診断されています。死亡数では肺がん、大腸がんについで第3位で、毎年4万人以上が胃がんで亡くなっています。こういう状況でありながら、胃がんの検診受診率は40-69歳では男性46%、女性35%とまだまだ低いのです。40歳以上で一度も胃カメラを受けられたことがない方は、ぜひ一度は受けて頂きたいです。

ピロリ菌の除菌が胃がん予防の第一歩

胃がんの原因の99%はヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)感染です。ピロリ菌は胃粘膜に生息する細菌です。ほとんどが幼少期までに経口感染(ピロリ菌に汚染された水や食べ物、親からの離乳食の口移しなど)と考えられています。
日本人のピロリ菌感染者は3500万人以上と言われています。ピロリ菌の感染率は60歳以上では50%程度、40歳代は20%程度。衛生状態が整ったことにより、現在19歳以下は10%程度に減っています。
ピロリ菌に感染しても自覚症状はほとんどありませんが、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がんを引き起こします。消化器疾患以外にも血液疾患(突発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血など)、慢性じんましん、心・血管疾患などと関連があることが指摘されています。
ピロリ菌感染の有無は胃カメラの際に胃粘膜を採取して調べたり、採血検査などで診断します。
ピロリ菌を除菌することで胃がんの発生率が30%低下することが報告されています。
除菌治療は2種類の抗菌剤と1種類の制酸剤を1日2回、1週間の内服で行ないます。1回目の治療で80-90%の方が除菌に成功します。一次除菌不成功の場合は、抗菌剤を変えて同様に1週間内服すると、90%以上が除菌に成功します。除菌判定は、内服加療後1ヶ月以降に尿素呼気テストで行なっています。これは袋に息を吹き込むだけの楽な検査です。
胃がんの危険因子はピロリ菌感染以外に食塩過多、喫煙、アルコール、家族歴などがあります。
慢性胃炎や萎縮性胃炎が進行するほど胃がんの発がん率が上がりますので、除菌も早い方が有効です。また除菌後も胃がんのリスクは残り、除菌10年後に胃がんが見つかることもありますので、ピロリ菌感染した方や萎縮性胃炎、胃がんリスクのある方は年に1回程度、胃カメラでの定期チェックが必要です。

内視鏡治療も進んでいます 胃カメラでの定期検診を受けましょう

早期胃がん(がんが粘膜層または粘膜下層にとどまっている状態。ステージ1)は5年生存率90%以上で、内視鏡的に根治可能です。組織型や形状にもよりますが、早期の胃がんであれば2~3cm程度の大きさまでは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が可能です。このような局所治療は体への負担が少なく、胃が残ることでその後の後遺症が極めて少ないことが利点です。
早期胃がんはほとんど症状がなく、早期発見で根治できる病気です。診断は内視鏡での定期検診でしか見つけることは困難です。採血や超音波検査(エコー)、CTでは」早期胃がんを見つけることはできません。近年、内視鏡の製品技術の向上や人工知能(AI)による内視鏡診断支援システムの開発もめざましいです。胃カメラ検診の重要性を知っていただくことで受診が広まり、早期診断・早期治療が促進され、胃がんで命を落とす方が少しでも減るように私たち内視鏡医は務めています。

専門的な内容を丁寧に分かりやすく説明し、適切な検査と治療、生活指導を提案しています。患者さんがリラックスでき安心してなんでも相談頂けるような医療を心がけています。気になる症状等ありましたら、当院内科までご相談下さい。
※初診の方は、紹介状をお持ちの場合のみ予約できます。
紹介状なしの場合、予約できませんので、下記受付時間内にお越しください。
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